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NPO法人 S-paceとは 代表:越智正篤氏インタビュー
2012年3月31日
幼稚園や保育所などで体育指導員として多くの子どもたちと触れ合ってきた、越智正篤さん。体をのびのび動かすことで、子どもの成長や親子の学びの場を30年以上に渡り育んでこられました。今や兵庫県や神戸市からも多くの事業を担い、幼児体育の専門家でありながら、世代を問わない子育てそのものに対する頼もしい“みんなの親父”であるようです。
そんな越智さんが代表を務める、NPO法人 S-paceの活動を軸にインタビューを行いました。越智さん独特の子どもたちとの関わり方で、団体はどんな場所へと変化していったのでしょうか?

1)「S-pace」の理念とその由来について教えてください。
私たちS-paceは「関わるすべての人にとって居場所となる」ことを理念として、様々な活動に取り組んでいます。
「S-pace」の名前は、「space 居場所」、「self pace 自分のペース」の2つの意味から来ています。
その人にとっての居場所、居心地のいい場所、いどころ、になればいいなぁというこの思いは、もともと経営している会社「フィールド・オブ・ゆう」とも共通しています。団体の全体像を“田舎の駅”のような感じでイメージしていたんです。例えば、各駅停車に乗って来た人がその駅にたまたま降り立った時、ゆっくりしていくか、居たいだけいるか、いや次の電車へ乗って行くか。要はその“田舎の駅”でホッとしてもらえたり、癒されたりして、またいつでも来た電車で進んでいける、そういう場所を目指してスタートしたんです。子どもたちにはいろんな環境を知って成長してもらわないといけないから、次の所に送り出す。でもたまに戻ってきて、ホッとできるような場所でありたいと思ったんですよね。


2)NPO法人として「S-pace」を立ち上げたきっかけを教えてください。
私が若かったころは、保育所に子どもを預けている人は、卒園の時期が来たら仕事を辞めないといけなかったんです。なぜかというと、小学生を預かってくれる児童館が5時までだったんです。そこで、もうちょっと遅くまで子どもを預かることの出来る民間の学童を作ろうという話になりまして。仕組み的な部分で言うと、NPOを立ち上げた方が早く学童保育所が作れたんですよ。役所からもバックアップも得られましたし。それがこの法人を立ち上げたきっかけでした。 


3)兵庫県の「ひろば事業」をまかされるようになった経緯は?
学童保育所や児童館を運営する様になって、いろんな繋がりができまして。その中、次第に認知度が上がっていったようで、「子どもの冒険ひろば」事業を紹介されたんです。それが今年で6年目になる「みんなで わんぱ~く」です。それから続いて、「わくわく親ひろば」、「若者ゆうゆう広場」、「ひろば支援」などの事業をさせていただく事になりました。


4)事業を担うことで、変化したことはありますか?
下は幼児から上は中高生、当然保護者の方もいますし、最近ではボランティアや参加者として高齢者の方々も加わって、「多世代」の関わりがあります。それをどういう風に育てたというか、自然とみんなの居場所としてほっとできる空間になっていったように感じますね。子どもが悩んだりしたときに戻って来れて、また元気になったら次に行ってくれたらいい、そんな思いで運営されているからでしょうか、子育て中の保護者がスタッフや周りの人といろいろと話をして帰って、いい顔でまた来てくれたり、友達を連れて来てくれたりしていますし、はじめは遠巻きに見ていた高齢者の方々との繋がりもいっぱい出来てきましたね。 とても困っている時に、「こんなときしか来なくてすいません」って言いながら来てくれたら、こちらこそ“こんなときに”よく思い出してくれたねってうれしくなるんですよ。 そうですね、昔にくらべて多くの人との出会いがあります。よい評価もいただいたりしますが、それは僕がどうこうじゃないんですよね。たまたま縁あって関わってくれている人がみんなすごくいい方々なので、周りが自然と評価してくれるんですよね。 


5)代表自身が思う使命感や、団体の存在価値を教えてください。
僕自身の使命感というよりは、関わってくれているスタッフたちが、それぞれの環境でやりたいと思っていることをそれぞれで実行してくれたらいいなと思ってますね。団体の方向性としては、自分で考えて責任を担えるように子どもが成長することを目指しているので、それに大きく外れなければスタッフのやることは何でも構わないんです。みんな、僕にはできないことをやってくれているしね。僕のやっている事業や団体をひっくるめた中で、僕の存在は“土”なんじゃないか、という話をみんなでしていて。土から生えている木はそれぞれの部署だったりする。そのみんなが落としてくれた葉っぱを僕が栄養にして、僕じゃできないこともお互いに補い合いながら。指摘もされるし、ケンカもするし。一緒に成長していく、そういう循環がある団体なんですよね。


6)NPO法人としての今後の方向性や、やっていきたいことを教えてください。
今、世間でも話題になっていると思いますけど、老若男女に関わらず、いろんな世代が繋がっていけるようにしたい。年齢は関係なく、親も子も、小中学生・高校生、高齢者、スタッフ…。いろんな人のそれぞれの居場所になっていければいい。その関わってくれている人たちが、「S-pace」を出て別の場所に行っても、いろんな木を生やしてがんばってもらえたらうれしいよね。


越智さん自身、少年時代に勉強ができなくても、間違ったことをしても、先生が自分の発想を認めてくれた経験が忘れられなかったといいます。そのような温かな体験があるからこそ、「関わるすべての人にとっての居場所になる」との思いが生まれ、それを理念として活動してきたからこそ、最初に越智さんがイメージした「田舎の駅」により近づいてきたと言えるのではないでしょうか。